相続放棄を申立てる


これがまた厄介な問題に巻き込まれました。要するに母に多額の借金があるように見せかけて、相続人の私に払わ
せようとしたのです。堅実な母が借金などするわけもなく、借用書というのも明らかに母の字ではありませんでしたが
田舎警察までグルになっているのか、正式な借用書として認めてしまったのです。

こうなると日本大使館といえども、他国の決定に内政干渉できません。たまたま母には財産と呼べるものなど無く、
相続放棄しても、生命保険は遺族の固有財産になるために支給されるということなので、家庭裁判所で放棄の手続
きを取りました。それでまた、ネット検索をしても法律事務所の広告ばかりで、肝心な部分にくると「後はお問い合わせ
ください」となり、本当に役に立つサイトというのはまず無いというのが現実でした。
しかし専門家に頼まずとも。相続放棄など自分で簡単にできます。費用も相続人一人につき僅か800円+80円切手
5枚。切手は余れば返してくれます。裁判所の敷居というのは実は低いのです。


裁判所は故人の最終住所地の裁判所に行く

故人の住民票がある住所を管轄する家庭裁判所が事件を担当します。それで私の母のように、日本に住民票が無い
場合はどうなるのか?答えは東京家庭裁判所が担当します。
相続に関しては、例え海外で起ころうと、故人も相続人も日本人の場合は属人主義といって日本の裁判所が決定を
出すのです。そしてこの決定は海外でも有効なのです。


申立ては死後3ヶ月以内まで

相続放棄が認められるのは、相続の事実を知ってから3ヶ月以内までと規定されています。ですから土地や有価証券
を相続していながら、後に借金の事実が発覚したから放棄する。などはできないのです。3ヶ月を過ぎたら、借金を含
む全ての遺産を引き継がなくてはいけません。

そして申立てが受理されたら、その時点で申立人は全ての相続権を失います。これは早ければ申請を出して1週間
ぐらいで受理されます。流れとしては、申立て→裁判所から確認の通知が来る→確認書を送り返す→受理決定
になります。


必要書類

これにも当然戸籍が必要なのですが、現在の戸籍を持っていけば良いというものではありません。相続人は親子
あるいは兄弟ですから、元々は同一戸籍に入っているはずです。その時点から現在までの戸籍謄本が全て必要に
なります。私の姉は、親の戸籍を抜けて結婚しただけですから1通の現在の戸籍で済みましたが、私は結婚、離婚、
再婚があり、途中本籍地も移ってますので計4通、2つの市役所から戸籍や除籍の謄本が必要でした。

それと本人の戸籍あるいは除籍謄本は全員で1通あればOKです。相続人が2人いるからといって、2通取る必要は
ありません。もちろん故人の死亡を示す記載もその中に入っていれば、故人の分も含めて1通でOKです。

この必要書類に関しては、個別に提出書類が違うので事前相談を家庭裁判所でやっています(電話相談不可)
裁判所によって、若干相談受付時間が違うので電話で確認してから一度足を運ぶと間違いありません。
それを含めても、2回行けば終わるのですから事前相談は利用したほうが良いですし、申立てに必要な申立書を
人数分くれますので、兄弟が遠く離れて暮らしている場合には、郵送だけで済ませてくれます。もちろん確認書で
意思確認はとりますけどね。


決定が出たら?

相続放棄受理証明書というのが送られてきます。これには申述人(相続するはずだった者)、被相続人(故人)、
事件番号、申述受理年月日が書いてあります。これでもうアナタは親の借金を払う義務はありません。
ただし債権者はこのことを知りませんから、引き続き請求してくるでしょう。

この書類を見せれば良いのでしょうが、これは大切な原本です。ちゃんとした証明書が一人一通150円で出されるの
で、この証明書を持って裁判所で発給を受けてください。そして発給された証明書を配達証明でも付けて債権者に
送ってあげましょう。例え誰が何を言おうと、アナタには支払う義務も請求される筋合いも無いのです。これは裁判所
が決めた社会のルールなのです。まだブチブチ言う債権者がいたら、警察に被害届でも出してあげましょう。




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