現地で火葬する場合


遺体の空輸は費用の面で大きな負担がかかること。また遺体の損傷具合では、日本への空輸許可が出ないことも
あります。そのために遺体を現地で火葬して、遺骨を持ち帰る選択もあります。私はこの方法を選びました。


火葬はどこでできるの?

土葬が主流のフィリピンでは、意外に火葬場を探すのに苦労します。マニラには日本大使館と連携していて、日本人
の扱いに慣れている火葬場もあります。ただし火葬場は大体予約が数日先まで一杯の場合が多く、時間的に余裕が
無ければ、大使館に一任して適当な火葬場を探してもらうのが良いでしょう。

私の場合は空港にほど近いパラニャーケ市の、ホーリートリニティ記念教会(Holy Trinity Memorial Chapel)を紹介して
もらい、そこで荼毘に付しました。あまり日本人が使用しない斎場と聞いていましたが、設備は立派で料金もエアコン
付き個室(水シャワー・トイレ付き)で1日3000ペソでした。長椅子があり、ついたてで外から見えないスペースもある
ので、私たち夫婦はそこに2泊しました。50人は座れるスペースがある広い部屋なのですが、多い人数で使用する
前提でエアコンの強度が設定されているために(温度調節不可能)寒くて日本から着てきたコートを着て寝るようでし
た。道路を挟んで、ファストフード店や24時間営業のセブンイレブン。小規模ながら一通りのものが揃えられる市場が
あり、滞在には便利な場所でした。


火葬のために必要な書類

1 死亡証明書      死亡地の役所でもらったものです。

2 遺体搬送許可証   同じく役所、あるいは保健所でもらえるものです。
  ※要注意       この許可証の搬送先が、火葬を行う斎場でないと火葬許可証(火葬場の住所地の役所で発
               行)が出ません。ですからまず、火葬場を決めてから遺体搬送許可証をもらう必要があります

                ただし遺体を日本に空輸する場合と違い、火葬場を経由地ではなく、最終目的地としても
                構いません。なぜなら火葬後は遺灰となり、別途、遺灰搬送許可証をもらうことになるから
                です。

3 同意書         これは火葬場に備え付けてあります。火葬費用は15000ペソでした。

4 遺灰搬送許可証   前述のとおり、遺骨を火葬場から持ち運びする許可証です。火葬場で代行してくれます。
                火葬場から日本の自宅まで運ぶように、火葬場の住所地の役所に申請します。



火 葬 の 際 の 注 意

これは私の反省点を含めて、おそらく日本人がやってしまう失敗をあげてみました。

1 火葬場で検死(司法解剖)が実費(8000ペソから)ができる

                これが私の場合は最大のポイントでした。死因に不信感があったもののどうすることもでき
                ずにいたところ、斎場のマネージャーのほうから提案してくれました。ホーリー・トリニティで
                は毎週2回(火・金が原則)フィリピン国家警察の検死医が出張してきて内蔵のサンプルを
                持っていきます。普通は肝臓だけを採取するようですが、私の場合は医師が肝臓を見た
                途端に異変に気づき、死亡診断書の脳内出血の項目にも疑いを持ったために急遽、開頭
                し、脳のサンプルや、その他の臓器のサンプルも持っていきました。そして検査結果が出る
                までに4週間かかりますが、シアンによる毒物中毒との死因を結論づけ、立件に至りました。
                この解剖がなければ、まさに母は無念のままに葬りさられるところでした。

2 棺桶は売れる     フィリピンの棺桶は土葬用に作られています。よって燃やすようには作られておりません。
                高級品になると、アルミ合金やステンレス製のものもあり絶対に燃えません。よって火葬
                の場合、遺体を棺から出して機械に入れます。
                この時に棺は回収されてしまいますが、もちろん自分で買ったものなので返却を希望でき
                ます。これは買値の2割ぐらいで引き取ってくれる業者がいます。私の場合はそのまま斎場
                が引き取ってくれました。しかも私は物価の安い田舎で棺を買ったうえに、葬儀社の人が
                同情してくれてかなりの値引きをしてくれましたので、買値の半分以上の額が戻ってきま
                した。

3 遺骨でなく遺灰    フィリピンに限らず、外国では火葬の場合、燃焼後に遺骨をミキサーにかけて粉にします。
                これは私も気が付かず、母も粉にされてしまいました。外国映画で遺骨を空から撒く場面
                とかありましたね。後で気づいたのですが、遺骨のことを皆ash(灰)と呼んでいることや
                斎場の事務所にあった骨壷が花瓶のように先端が狭い形になっていたことに疑いを持つ
                べきでした。また骨壷はデパートで売っています。私はシューマートというデパートで、
                なるべく日本の形と大差ない四角形のものを8000ペソで買いました。意外に高いです。
                でも灰にしてしまう分、大きさは小さく、持ち運びには便利でした。それと風呂敷代わりに
                紺色の布を買い、包んで運びました。



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